目的と概要
当会では公益財団法人JKAの競輪の補助金を受け、ICT社会における児童生徒の安全安心のための事業を進めております。
本事業は「つながり依存」に関連する行動(相手が気になってメール返信がやめられない、SNSからの発信し続けていないと不安になる…など)の依存度を判定する指標の作成と、自分ならばどのような行動をとるかを考えさせ、自分の行動を考え直し、行動を変え、よりよいネット社会を送るための課題解決を行うための活動を目的としています。
当会では公益財団法人JKAの競輪の補助金を受け、ICT社会における児童生徒の安全安心のための事業を進めております。
本事業は「つながり依存」に関連する行動(相手が気になってメール返信がやめられない、SNSからの発信し続けていないと不安になる…など)の依存度を判定する指標の作成と、自分ならばどのような行動をとるかを考えさせ、自分の行動を考え直し、行動を変え、よりよいネット社会を送るための課題解決を行うための活動を目的としています。
委員一覧(顧問/委員長以外は五十音順)
所属 | 役職及び氏名 |
---|---|
白鷗大学 | 学部長 赤堀 侃司(顧問) |
東京大学 | 教授 橋元 良明(委員長) |
エンジェルズ・アイズ | 代表 遠藤 美季 |
一般社団法人 インターネットユーザ協会 | 代表理事 小寺 信良 |
柏市立柏第二小学校 | 教頭 佐和 伸明 |
筑波大学 | 教授 土井 隆義 |
千葉大学教育学部附属中学校 | 主幹教諭 三宅 健次 |
帝京中学・高等学校 | 教諭 三輪 清隆 |
ネット依存症にならないために
つながりチェッカー(ネット依存傾向がチェックできます)
JAPET&CECでは、平成26年度から公益財団法人JKAの補助を受け、児童・生徒の安全安心を願い「教育現場のICT安全安心対策事業」を展開しており、この中の一つの事業として「ネットの使いすぎ撲滅のための事業」を実施しています。あらゆる分野で、大人だけでなく児童・生徒を対象としたネットサービスが提供されている一方で、使い過ぎで心身に異常をきたす児童・生徒の事例も報告されています。一般にネット依存と言われていますが、専門家は次の三つに細分化して研究しています。
本委員会では、ネット依存について約20年前に提唱したアメリカのヤング基準は自己報告のため、事実よりも意識面を重視していること、また、薬物やアルコール依存というものと同様にネット依存は「悪い物である」という考えのもと、それを阻止しようという概念で作られています。 当時はまだ携帯やましてはスマホなどなかったことから、同じ基準では現在の中高生の尺度と大きなズレがあります。現在、スマホは時計がわりであり悪い物とはされていませんので、その基準で依存傾向が「高」に分類されても医学的治療が必要とは限らないということが委員会において検討されました。また、ネットの利用時間の調査(総務省調べ)によると「気がつくと長い時間ネットをやっている」という回答は半数以上であるということはそれが普通の状態ということとなり、依存傾向があるという尺度としては疑問があります。したがって新しい基準を作るべきではないかと思われます。 新しい判断項目を作るにあたって、中学生/高校生が彼らなりに何が問題で,何が問題でないと思っているのか、中学生300名、高校生200名に調査を実施しました。 結果以下の弁別指標を策定しました。この指標の妥当性の調査を中学生300名、高校生500名の協力得て実施した結果。妥当性が証明されました。
つながり依存度 | ゲーム依存度 | コンテンツ依存度 | |
1. 友達からのネット上のメッセージにはどんな時でもすぐに返信する | 1 | 0 | 0 |
2. ネットでやり取りしているとき、相手からのメッセージの返信が遅いとイライラする | 1 | 0 | 0 |
3. 他のことをしている時でも、ネットにどんな話題を投稿しようかということばかり考えている | 3 | 0 | 1 |
4. 友達からのメッセージが気がかりでネットを常に確認している | 3 | 0 | 0 |
5. 仲間外れにされたくないので、気が乗らない時でもネットで友達とやり取りするのを止められない | 3 | 0 | 0 |
6. ネットをしている時が一番安心する | 0 | 2 | 2 |
7. 他のことをしている時でも、ついネットのことを考えてしまう | 2 | 3 | 3 |
8. 友達と過ごすよりネットをしていたいと思うことがある | 2 | 3 | 3 |
9. 外で遊んだり課外活動に行ったりするよりも、家でネットを楽しみたい | 0 | 3 | 3 |
10.ネット上のアプリやコンテンツ(ゲーム、音楽、スタンプなど)に課金することがよくある | 2 | 3 | 2 |
11.他にやるべきことがあってもネットを止められない | 0 | 3 | 2 |
12.ネットをしていて、気がつくとかなり時間が経っている | 2 | 2 | 3 |
13.現実世界の嫌なことを忘れるためにネットをしている | 2 | 2 | 3 |
14.ネットをしている最中に邪魔されるとキレそうになることがある | 2 | 2 | 3 |
15.起きている間中、ずっとネットをしている | 3 | 3 | 3 |
16.誰かと話している最中でもネットをしている | 3 | 3 | 1 |
17.風呂やトイレでもネットをしている | 3 | 0 | 1 |
18.歩いている最中でもネットをしている | 3 | 0 | 0 |
19.あと少しと思いながら深夜までネットをしてしまい、寝る時間が少なくなることが多い | 3 | 3 | 3 |
20.ネットができないと不安で落ち着かない | 2 | 2 | 2 |
21.学校の成績が下がった原因はネットのやりすぎではないかと思う | 2 | 2 | 2 |
22.よく「ネットのやりすぎ」と注意される | 2 | 2 | 2 |
23.ネット以外の趣味や楽しみがない | 0 | 2 | 0 |
ネット依存と一口で言われるが、大きくYoutubeなど見続ける「コンテンツ依存」と、SNSなどでコミュニケーションを続ける「つながり依存」、ゲームなどにはまる「ゲーム依存」があるのではないだろうか。ヤングの基準は、それらを区別していません。
ヤングの基準は自己報告のため,事実よりも意識面を重視しており、薬物やアルコール依存という「悪い物である」というものを阻止しようという概念で作られています。
スマホは時計がわりであり悪い物ではなく、概念にズレがあります。また、ヤングの時代にはなかった状況となっています。そのため、ヤングの尺度は合わなくなっていますので、その基準で依存傾向が「高」に分類されても医学的治療が必要とは限りません。
また、「気がつくと長い時間ネットをやっている」という回答は半数以上であり、それが普通の状態となっている現在では依存傾向の尺度としては疑問があります。したがってそろそろ新しい基準を作るべきではないでしょうか、ヤングの尺度のように主観的ではなくて、やっているか、いないか、更にトラブルや諍いを起こすという被害の事実面に合わせた客観的な尺度が必要ではないかという観点から、新たな指標を作成すること、その指標に沿ったコンテンツを開発し、児童生徒が自分の状況を自分で把握し、依存傾向にならないための方策を提言していきます。